理系のキャリアは16歳で決まる?「なんとなく」の学科選択が招く10年後のミスマッチと解決策

高校時代の選択が人生を左右する

高校時代の「学科選び」が理系キャリアを大きく左右する

「今の学科、本当に自分がやりたかったことなのかな…」
「勉強や研究はそれなりに楽しいけど、これが一生の仕事になるイメージが湧かない」

こうしたモヤモヤを抱えた理系学生は多いのではないでしょうか。
実は、理系のキャリアは、就活中ではなく「高校時代の文理選択・学科選択」に大きく左右されるといっても過言ではありません。

今回は、理系企業出身で1000人以上の学生をサポートした私の実体験をもとに、「文理選択・学科選択」の影響の解説と、違和感を持つ場合の解決策についてお伝えします。

テストの点数で「なんとなく」選択した文系・理系

普通科であれば高校1年の終わりに文系か理系かの希望調査があります。

私も理系を選択しましたが、この時は特に重い決断だと思っていませんでした。父親が理系出身だったこと、テストで理系科目の点数が高めだったことなど、特に考えず理系を選択したように思います。得意かどうかでいうと、正直数学はあまり好きではなく、苦手な社会科目に比べると点数が取れるという感覚でした。

周りから良く驚かれたのは国語の点数が高かったこと。子供のころから漫画や小説を読むのが好きで人と話すことが好き。特に努力せずとも高い点数を維持していました。

客観的にみると、適性としては文系的な能力が高いと感じますが、当時の私は親の影響や「なんとなく」という理由で理系を選択したように思います。

文系・理系選択のキャリアへの影響

大半の学生が私のケースのように直感的に文理を選ぶのではないでしょうか。
中には「潰しが効くから理系が良いよ」「悩んだらとりあえず理系にした方がいい」と親や先生から言われた人もいるかもしれません。

しかし、当たり前ではありますが、この時点で大学の学科の選択肢が大きく半分に減少します。

さらに、理系の選択科目として、物理と化学と生物の選択は、工学系に進むか理学系に進むかといった具体的な「業界選び」に繋がる決断です。(高校物理を理解せずに工学系の学科に進むのはかなり難しいです)

「潰しが効くから理系が良い」の本当の意味

また、潰しが効くという意味について、他でも活かせる、別の道を選び直せるという意味でよく使われますが、これ自体は間違っていません。

  • 理系選択をした人が文系学科の大学を受ける
  • 理系学科の大学生が文系企業を受ける
  • 理系企業で技術職をしている人が文系転職する

そういったことは実際に可能です。(ちなみに逆は非常に難しいです)

本当にどちらか決まっていない場合、選べるなら理系の選択を取ることは私も賛成です。

しかしながら、めんどくさくて悩みや選択を後回しにしている人も多くいる印象です。

もし文理選択の岐路にいる方が目の前にいれば、今の私なら、テストの点数だけではなく、一度文系・理系のそれぞれの進路(業界・職種などの働き方)について調べて、自分らしい選択をするようにアドバイスしたいと思います。

やりたいことが決まっていないのに「なんとなく」決めた学科選択

高校3年になると受験が近づき、自分の偏差値で行ける大学や学科を考え始めます。

当時の私は浪人したくないという思いから、倍率やボーダーラインを意識して学科を選択しました。絶対にその内容が学びたいと思っていたわけではありません。

もちろんオープンキャンパスに行き、実際のキャンパスの雰囲気や研究室の内容は見せてもらいました。見たは良いものの、正直具体的に何を学ぶかはよくわかっていないまま、「なんとなく面白そう」という理由で希望を出しました。

また、ここでも「就職率の高い学科だから」といった周囲のアドバイスを真に受けて、打算的な選択をしました。

就職率がどんなに高くても、「自分らしく働けない企業」に入社したとしたら続けていけない、ということに10年後初めて気付きました。

大学3年生で初めてキャリアを考えギャップを感じはじめる

無事に入学を果たした私は、サークル活動やアルバイトに明け暮れ、テスト直前には友達と勉強合宿で一夜漬けするなど、大学生活を謳歌しました。

幸いなことに選択した学科の専門科目も嫌いではなく、中には面白いと思える講義にも出会えました。

しかしながら、大学3年で就活を始めたときに徐々にギャップを感じ始めます。

  • 自分が学んだことを活かすにはどういう会社がいいのか?
  • この授業は好きだったけど仕事で使えるの?
  • とりあえずインターンシップに行ったけどよくわからなかったな・・・
  • 無数にある選択肢からどうやって選べばいいの?
  • 正直、勤務地を重視したいけど地元周辺で学科の専門性が活かせる企業がない

これまで「なんとなく」選択した結果、実際に企業を探し始めると自分がしたいことが全くイメージできない。それでも受験と同様、周りもやってるからとにかく就活をしなきゃというマインドで20社ほど説明会を聞き、10社ほど選考を受けました。

そのうち1社内定をもらいましたが、どうしてもやりたい仕事と思えず不安になり、親に相談して大学院進学を許してもらいました。内定企業には辞退を伝えましたが、深く考えず受検し、迷惑をかけたなと非常に後悔しました。

大学院では専門性がより顕著になる―それ以外が選べない

一種の逃避として大学院進学しましたが、これまた幸いなことに人生の恩師と呼べる教授の元で学ぶことができました。この期間は研究活動に没頭し、空いている時間はアルバイトに励みながら過ごしていました。

修士1年では大学3年~大学4年の失敗を反省し、綿密にスケジュールを組んでいろいろな企業を見比べました。自分の研究が活かせる分野はどこかを考え、勤務地も広げて、積極的に選考に参加しました。

学部時代と比べて大学院の就活は大きく選考の質が変化していました。「専門性の合わない企業」は書類選考でバッサリと落とされ、面接では研究内容の深掘りがほとんど。学部時代は多くの企業がウェルカムなイメージでしたが、院では厳格に審査されるイメージ。

そんな中でもなんとか大手企業と呼べる企業から1社内定を獲得し、教授や親にも報告して祝福されました。

大手企業から内定をもらったと聞くと良い知らせのように感じますが、そんなに甘くはありませんでした。私は社会を知らなさ過ぎました。

入社後に感じるどうしようもないギャップ

期待を胸に万全の準備で社会人になったつもりですが、入社して大きなギャップを感じました。

  • 面接時に希望していた配属が叶わない
  • 院の専門知識がほとんど活かせない
  • 仕事の全容がつかめずなんのための仕事かわからない
  • 年功序列で頑張っただけ損した気持ちになる
  • 他で活かせるスキルが身についている実感がない

もちろんこういったギャップを感じてすぐに辞めたわけではありません。しっかりとエンジニアとして業務を主導し後輩を指導するまで行っておりましたが、一生続けられる自信はいつまで経っても芽生えませんでした。

それもそのはず、これまでの就活を振り返ってみると、業界について、職種について、会社について、仕事について、何一つちゃんと理解しないまま、とりあえず形だけ取り繕うように進めていたのです。

ミスマッチが発生しやすい就活の考え方

私のエピソードを聞いてどう感じましたか?

共感した人やドキリとした人も多いのではないでしょうか。

よくわからないけどなんとなく決める、周りがやっているからとりあえず始める、学生時代の選択はこういうことがよくあると思います。

これまで多くの理系学生の相談に乗ってきましたが、業界や職種についてしっかりと理解している学生は10人に1人かそれ以下です。自分の専門性が社会で何に役立つ学びか、知らない人も多くいます。

  • とりあえず大手に入りたい
  • 大手に入れば就活成功だと感じてる
  • 入社してからやりたいことを探せばいいかな
  • 内定を複数もらって給料や休みで最後選ぼうかな

こういう考えで就活をしている方は少し危険かもしれません。そうやって入社した大手企業にミスマッチを感じて、1~2年で退職する人も多くいます。

就活難易度の低下で増えるミスマッチ

一方、昔と比べて、少子高齢化の影響もあり企業の多くは人手不足です。
就活の難易度も年々下がっており、しっかりと企業理解しないまま就活しても平気で内定が出ます。

リーマンショックやコロナ禍の時と比べて選考の速度感も、内定の出やすさもどんどん早く・緩くなっています。

就活の早期化によって、あまり悩まずとりあえず内定が出た企業に結論を出す人も増えています。

内定が出やすいことは良いことでしょうか?
実は選考ハードルが緩くなるとミスマッチも多くなります。

イメージしにくいかもしれませんが、企業が選考で高いハードルを課すほど、そのハードルを越えた人は求める専門性や特性を兼ね備えていることが多く、自然と適性を活かして働くことができます。

一方、広く誰でもOK、未経験でも大丈夫、とりあえず人が欲しいから広く内定を出そうとなっていくと、やりたいこと、やれることに関わらず内定が出るため、働き始めて「思っていた働き方じゃない」、「全然自分の得意分野じゃない」ということが起こりえます。

【解決策】ミスマッチを防ぐ理系就活の基礎知識

では、こういったミスマッチを防ぐにはどうすればいいでしょうか?

高校時代に戻って文理選択や学科選択をし直すことはできません。

キャリアとは不可逆的なもの。点と点をつないで時間軸で前に進んでいくもの。

解決策は何度も書いていますが、業界・職種をしっかり理解することです。

業界とは、なんの商品やサービスを提供して利益を得るか

職種とは、その会社の中でどんな働き方をするか

業界選びで自分が何に誇りをもって仕事をするかが決まります。また企業の利益率や将来性は平等ではありません。将来の年収や休みなどにも影響します。

業界の大きな分類を解説した記事があるので、先ずはここから業界を知っていきましょう。

職種選びで1日の時間の使い方や何を武器に働くかが決まります。同じ企業でも「人事」「営業」「設計」ではまったく違う専門性が必要ですし、一日のスケジュールも大きく異なります。人と話す時間、PCと向き合う時間、出張の頻度、想像以上に職種選びは重要なものです。

理系職種について業界ごとに解説した記事があるので、自分らしい働き方を探してみましょう。

もし、すでに学科選びで後悔している人は、キャリアチェンジについて解説しています。
かくいう私も理系就職からキャリア支援という文系就職へのキャリアチェンジです。
自分の専門性の違和感に早めに気付けたと前向きな気持ちでぜひ見てみて下さい。

まとめ

理系のキャリアは16歳で決まる といった、かなり極端なタイトルですが、あくまで言い過ぎではなく、気づかないレベルで様々な選択をこれまでもしています。

就活では、それ以上に人生を左右する「ファーストキャリア」を選びます。

これから就活を始める皆さんが、ただ闇雲に就活をするのではなく、地図やコンパスとなりえる指針を提示できれば幸いです。

受験勉強や理系の難しい講義を乗り越えた皆さんなら大丈夫。

ひとつずつ学んでいきましょう。

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