高校時代の「学科選び」が理系キャリアを大きく左右する
皆さんは今の専門性をどのタイミングで選びましたか?
もっと言えば文系と理系をどのタイミングで選びましたか?
そしてその選択はどうしてでしょうか。
当たり前のことに聞こえるかもしれませんが、その学科選択がエンジニアとして生きる将来を大きく左右します。
しかし、恥ずかしながら私は誇れるような理由ではありませんでした。
得意不得意ではなく「なんとなく」で選択した文系・理系
普通科であれば高校1年から2年にかけて文系か理系かの希望調査があります。
当時の私はなんとなく数学や理科が好きで、父親も理系だったことから、特に考えず理系を選択しました。得意かどうかでいうと、正直数学はあまりテストの点数が芳しくなく、好きだけど得意ではないという認識でした。
周りから良く驚かれたのは国語の点数が高かったこと。子供のころから漫画や小説を読むのが好きで人と話すことが好き。特に努力せずとも高い点数を維持していました。
客観的にみると、適性としては文系的な能力が高いと感じますが、当時の私は親の影響や「なんとなくかっこいいから」という理由で理系を選択したように思います。
やりたいことが決まっていないのに「なんとなく」決めた学科選択
高校3年になると受験が近づき、自分の偏差値で行ける大学や学科を考え始めます。
当時の私は浪人したくないという思いから、倍率やボーダーラインを意識して学科を選択しました。絶対にその内容が学びたいと思っていたわけではありません。
もちろんオープンキャンパスに行き、実際のキャンパスの雰囲気や研究室の内容は見せてもらいました。見たは良いものの、正直具体的に何を学ぶかはよくわかっていないまま、「なんとなく面白そう」という理由で希望を出しました。
大学3年生で初めてキャリアを考えギャップを感じはじめる
無事に入学を果たした私は、サークル活動やアルバイトに明け暮れ、テストの直前には友達と勉強合宿で一夜漬けするというように、大学生活を謳歌しました。
幸いなことに選択した学科の専門科目も嫌いではなく、中には面白いと思える授業にも出会えました。
しかしながら、大学3年で就活を始めたときに徐々にギャップを感じ始めます。
- 自分が学んだことを活かすにはどういう会社がいいのか?
- この授業は好きだったけど仕事で使えるの?
- とりあえずインターンシップに行ったけどよくわからなかったな・・・
- 無数にある選択肢からどうやって選べばいいの?
- 正直、勤務地を重視したいけど地元周辺で学科の専門性が活かせる企業がない
これまで「なんとなく」選択した結果、実際に企業を探し始めると自分がしたいことが全くイメージできない。それでも受験と同様、周りもやってるからとにかく就活をしなきゃというマインドで20社ほど説明会を聞き、10社ほど受検しました。
そのうち1社内定をもらいましたが、どうしてもしたい仕事と思えず不安になり、親に相談して大学院進学を許してもらいました。内定企業には辞退を伝えましたが、深く考えず受検し、迷惑をかけたなと非常に後悔しました。
大学院では専門性がより顕著になる―それ以外が選べない
一種の逃避として、モラトリアムの延長として大学院進学しましたが、これまた幸いなことに人生の恩師と呼べる教授の元で学ぶことができました。この期間は研究活動に没頭し、空いている時間はアルバイトに励みながら過ごしていました。
修士1年では大学3年~大学4年の失敗を反省し、綿密にスケジュールを組んでいろいろな企業を見比べました。自分の研究が活かせる分野はどこかを考え、勤務地も広げて、積極的に選考に参加しました。
学部時代と比べて大学院の就活は大きく選考の質が変化していました。「専門性は関係ないけど興味がある」程度の企業は書類選考でバッサリと落とされ、面接では研究内容の深掘りがほとんど。学部は多くの企業がウェルカムなイメージでしたが、院では厳格に審査されるイメージ。
そんな中でもなんとか大手企業と呼べる企業から1社内定を獲得し、教授や親にも報告して祝福されました。
入社後に感じるどうしようもないギャップ
期待を胸に万全の準備で社会人になったつもりですが、入社して大きなギャップを感じました。
- 面接時に希望していた配属が叶わない
- 院の専門知識がほとんど生かせない
- 仕事の全容がつかめずなんのための仕事かわからない
- 年功序列で頑張っただけ損した気持ちになる
- 他で活かせるスキルが身についている実感がない
もちろんこういったギャップを感じてすぐに辞めたわけではありません。しっかりとエンジニアとして業務を主導し後輩を指導するまで行っておりましたが、一生続けていける自信はいつまで経っても芽生えませんでした。
それもそのはず、これまでの就活を振り返ってみると、業界について、職種について、会社について、仕事について、何一つちゃんと理解しないまま、とりあえず形だけ取り繕うように進めていたのです。
ミスマッチを防ぐ理系就活の基礎知識
私のエピソードを聞いてどう感じましたか?
ドキリとした人も多いのではないでしょうか。
よくわからないけどなんとなく決める、周りがやっているからとりあえず始める、学生時代の選択はこういうことがよくあると思います。
これまで多くの理系学生の相談に乗ってきましたが、業界や職種についてしっかりと理解している学生は10人に1人かそれ以下です。自分の専門性が社会で何に役立つ学びか、知らない人も多くいます。
一方、昔と比べて、少子高齢化の影響もあり企業の多くは人手不足です。
就活の難易度も年々下がっており、しっかりと理解しないまま就活しても平気で内定が出ます。
その分ミスマッチも多くなっているのが現実です。
受験勉強や講義でたくさん勉強してきた皆さんなら、このサイトで解説する情報もきっと理解できるはず。
就活で焦る気持ちを少しだけ抑えて、一度自分の人生を振り返り、業界や職種の知識を身につけてみましょう。
